2024.02.08

【レチノールのA反応を解説】使い続けて大丈夫?起こる理由や対処法について

レチノールは、エイジングサインが気になる方におすすめの成分です。肌にハリや弾力をもたらし、肌悩みに幅広くアプローチできます。一方で、A反応やレチノール反応が心配という方も多いでしょう。レチノールは肌へ刺激を与える成分のため、副反応が起こりやすく、使い方には注意が必要です。レチノールのA反応について、起こる理由や対処法を解説します。 

レチノールはエイジングサインにアプローチできる成分

肌ケアをする女性

レチノールとは、化粧品に配合されていることが多いビタミンA誘導体の1種です。肌をすこやかな状態に保つために欠かせない成分といわれ、美容への効果が注目されています。
とくに、毛穴の開きやハリ感、くすみ*、シミ、肌荒れなどに働きかけるため、エイジングサインが出始めた肌をケアしたい大人の肌におすすめです。角質層のすみずみにうるおいを与え、肌のハリや弾力をサポートすることで、肌悩みにマルチにアプローチできるでしょう。
*乾燥による 

なお、ビタミンA誘導体は、肌の中で代謝され、形が変わっていきます。それらの総称をレチノイドといい、種類によって肌への影響力や安定性が異なる点がポイントです。
下の表に、各レチノイドの違いを表しました。トレチノインが最も生理活性が強く、肌へ与える影響が大きくなります。

 

【パルミチン酸レチノール】

【酢酸レチノール】

【レチノール】

【トレチノイン(レチノイン酸)】

〈主な分類〉

市販化粧品

市販化粧品

化粧品

医薬部外品

医薬品

〈肌へ与える影響・刺激〉

++

+++

+++++

〈浸透度〉

+++++

++++

+++

〈安定性〉

+++++

 ++++       

 

副反応でニキビが悪化?レチノールのA反応とは

肌荒れのイメージ

レチノールは肌への効果や浸透度が期待できる一方で、安定性が悪く、刺激にもなる成分です。レチノールをスキンケアに取り入れる際には、A反応(レチノール反応・レチノイド反応)について知っておきましょう。A反応とは、ビタミンA製品を使用した際に起こる肌の副反応のことです。 

レチノールのA反応で起こりやすい症状

レチノールのA反応で起こる症状には、次のものがあります。

  • ・肌の赤み
  • ・ヒリヒリした痛み
  • ・乾燥、皮むけ
  • ・細かいブツブツができる など 

症状には個人差がありますが、肌がかゆくなる場合や、ニキビが悪化する場合も珍しくありません。 

レチノールのA反応が起こりやすい時期

レチノールのA反応は、レチノール製品の使い始めや、レチノール濃度を上げたとき・使用量を増やしたときに起こりやすいのが特徴です。レチノール製品を使い始めて1~3週間程度、長い場合は2ヶ月程度、A反応が続く場合があります。 

スキンケアの相性にも注意!レチノールでA反応が起こる理由

レチノールを含んだ製品を使いたいけれど、「レチノールが肌に合わない人はいるの?」と不安な方もいるでしょう。A反応が起こる理由や、A反応が起こりやすい肌状態について解説します。 

肌がビタミンAに慣れていない

レチノールのA反応が起こる要因の1つは、ビタミンAが不足した状態の肌に急速にビタミンAを補給したためです。肌の中にビタミンAを受け取る受容体が不足していることで、細胞外にあふれたビタミンAが刺激となり、赤みが起こると考えられています。
逆にいえば、肌がビタミンAに慣れていないことが原因でA反応が出ている場合は、レチノールを使い続けることでA反応は徐々に治まるといえるでしょう。 

肌が刺激に弱い状態にある

もともと肌に水分や油分が不足している乾燥肌・敏感肌の場合は、刺激に対して弱いため、レチノールのA反応が出やすい可能性があります。い性皮膚炎や過敏症のある方、ステロイドを継続使用していた方も同様です。また、レチノールを既に使用していてA反応が出ていなかった方でも、肌荒れや体調不良が重なることで、途中から症状が起こる場合もあります。 

相性の悪いスキンケアを併用している

AHA(アルファヒドロキシ酸)やBHA(ベータヒ)などのピーリング成分は、刺激になりやすく、レチノールと併用すると強いA反応につながる可能性があります。肌に刺激となるスキンケアとレチノールの併用は、避けたほうが無難です。美容医療の中にも、肌に刺激を与えやすいものがあるため、併用については医師に相談しましょう。 

A反応の対処法は?レチノール使用方法のコツ

ドクターズコスメのサンプル画像

レチノールのA反応は、一人ひとりの肌質や肌の状態によって、出る人・出ない人がいます。しかし、レチノールの使い方によって大きく左右されるのも事実です。なるべく刺激を最小限にとどめてレチノールの効果を出すために、レチノールの使用方法のコツを紹介しましょう。A反応が出た場合の対処法としても、考え方は同じなため、しっかりチェックしてください。 

初めはレチノール濃度が低い製品から使用する

化粧品によって、配合されているレチノールの濃度が異なります。レチノール濃度が高いほうが効果を期待できそうに感じるかもしれませんが、その分A反応が起こりやすいため、高ければいいわけではありません。レチノールを初めて使用する場合は、効果や刺激がマイルドな、濃度の低いものから選ぶのがおすすめです。 

日本国内の化粧品は、配合できるレチノール量が「100g中250,000IUまで」と決められています。濃度にすると約0.04%です。国内の化粧品であれば、これ以上のレチノール濃度の化粧品はありません。
しかし海外の化粧品には、レチノール濃度が0.5%や1%といった製品もあります。これらの製品を初めて使用するときは、A反応が出やすいため注意しましょう。
A反応を確認しながら、徐々に濃度をステップアップしていくのがおすすめです。 

徐々に使用頻度を増やしていく

レチノール濃度と同じく、使用頻度や使用量についても、急にたくさんの量を使うのはおすすめできません。製品のレチノール濃度や配合によっては朝晩の使用が可能ですが、レチノールは紫外線に弱いため、基本的には夜のみの使用が推奨されます。そのため、まずは週2回程度から、夜のスキンケアで使用するのがおすすめです。肌の反応を確認しながら、焦らず徐々に使用頻度を増やしていきましょう。
また、既にレチノール製品を使用していてA反応による不快感が強い場合、使用量を少なくしたり、使用頻度を下げてみたりしてください。朝晩使用していた場合は、夜のスキンケアだけにしてみましょう。A反応が穏やかになる場合があります。
なお、医療機関が処方したレチノール製品を使用する場合は、用法用量は医師の指示に従ってください。 

酸化対策をしている製品を選ぶ

レチノールは、光や酸素にあたることで簡単に酸化してしまう、安定性が低い成分です。酸化したレチノールは、成分としての効果が低下してしまうだけでなく、肌への刺激にもなりえます。そのため、レチノールの安定性を保つ容器を採用している化粧品を選ぶのがおすすめです。
例えば空気に触れないようなエアレス容器や、1回使いきりの個包装などの製品があります。 

徹底した紫外線対策を行う

レチノールを使用しているときは、必ず紫外線予防を心がけましょう。レチノールが酸化しやすいという理由もありますが、レチノールが肌の新陳代謝に働きかけることで角質層が薄くなっているため、紫外線が強いと刺激になる場合があります。とくにA反応が出ているときは、肌のバリア機能が低下した状態と考えてください。
日傘や帽子などにより物理的に紫外線を遮断したり、を使用したりして、紫外線対策を行いましょう。 

相性が良い成分を併用して十分な保湿を行う

レチノール使用中は乾燥しやすくなるため、十分な保湿を意識してください。以下の成分は、肌にうるおいを与える効果が期待できるため、併用成分としておすすめです。しっかり保湿することで、レチノールのA反応をやわらげることが期待できます。 

・ヒアルロン酸
・セラミド
・コラーゲン
・ヘパリン類似物質
・ナイアシンアミド 

とくにレチノールとナイアシンアミドは、併用で相乗効果が期待できる組み合わせです。併用する際は肌への浸透を考慮し、ナイアシンアミド→レチノールの順に使用しましょう。 

レチノールのA反応が出たら使用をやめるべき?

レチノールのA反応が出ると、レチノールの使用を続けるべきか迷う方も多いと思います。通常、A反応は一時的なものです。基本的には、頻度や量を調整しながら肌にビタミンAを慣らしていき、使用を続けていきます。

ただし、レチノール使用後の反応を好転反応と自己判断して、ニキビや痛み、赤みといった肌トラブルを放置することは危険です。A反応ではなく、何らかの異常が生じている場合もあります。強い症状が出た場合や「レチノール反応が治らない」など心配な場合は、医療機関を受診し、専門医に早めに相談しましょう

おわりに

レチノールは、長期間使い続けることで肌にハリやツヤをもたらし、美肌を導く効果が期待できる、ビタミンAです。エイジングサインにアプローチしたい方のスキンケアに、ぜひ取り入れてほしい成分です。一方で、レチノールを使用する際は、A反応について正しく理解しておく必要があります。A反応を確認しながらより高い効果を目指すなら、専門医と相談しながら、上手に取り入れていきましょう。

 

一覧に戻る